ビッグマッサー タハラ
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「勝手にリベンジ」
男は、目の前でTシャツを脱いだ。鍛え上げられた背筋は黒光りしていた。それが有名なレジェンドサーファーだということは、すぐに気付いた。思い切って「僕も明日の大会に出るんですよ。」と声を掛けた。「そう。よろしく。」と素っ気無く湯気の中に消えていった。10年前、新島の公衆浴場でのことだ。私たちは、明日から始まるサーフィン大会に出場するため、この島を訪れていた。彼は、私がサーフィンを始めた頃から有名で、毎年シード選手として出場するような日本を代表するサーファーだ。トレーニングを積んだカラダは、まるでボクサーのようで、とても“団塊の世代”とは思えない。翌日からの試合では、差は歴然、全く歯が立たなかった。彼は、その後も数年間、勝ち続けていた。

再び彼を見たのは、2年前だった。頭髪は、すっかり真っ白になっていたが、眼光は、あの時のままだった。ここでも私は、早々に敗退したが、彼は、優勝した。とうに還暦を過ぎているというのに、あの勝負に対する執着心は何なのだろう。その時私は、この人に挑もうと決めた。

2012年の全日本決勝進出に照準を合わせ、コンディショニング計画を立てたのは、昨年12月。日記を付けながら好きなビールを断ち、体重を管理し、カラダから発する信号に耳を傾けながらトレーニングに強弱を付けた。休日のサーフィンも頭を使いながら行なった。オーバーワークは、ケガに直結する。40を過ぎた者のトレーニングと休養のさじ加減は、自分にしか分らない繊細なものだ。その間も常にライバルを意識し、コンディションを高めていった。

地区予選を勝ち抜き、8/23全日本開催地の伊勢へと向かった。出場するロングボードマスタークラスは、45歳以上の全国から予選を勝ち抜いてきた40名で5人ずつ8ヒートが行なわれる。私は、1回戦を調子良く勝ち上がり、続く2回戦、早くもあのライバルと同組で闘うこととなった。ヒート前のゼッケンスタンドで鉢合わせるも終始うつむき目も合わせてくれない。

いよいよヒートがスタートした。15分の制限時間内に、より良い波を掴み、高難度の演技を競う。私は、落ち着き自分のことだけに集中した。5分が過ぎたところで、2位。2位以内に入れば、準決勝に駒を進めることができる。3位に彼が着けていることは、分っていた。残り3分逆転された。しかし、こちらも逆転する余地は残っている。最後までもつれたが、僅差で破れてしまった。決勝進出が目標だっただけに悔しかった反面どこか満足感もあった。半年掛けて調整し、万全な状態で勝手にライバルに仕立てた17歳も年上のレジェンドに正々堂々と対戦できたから悔いはない。彼もまた自分自身、そして年齢とも闘っているのかもしれない。私も彼のような歳の取り方をしたい。
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