「英雄アキレウス」
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2017年バックナンバー
愛するわが子の肉体を不死身にしようと、神水の流れる川にまだ赤子であるアキレウスの足をつかんで全身を浸した。だが母がつかんでいた踵だけは、水に浸からず、踵の部分だけは、生身のまま残ってしまう。その後、アキレウスは、勇猛果敢な英雄となり、トロイア戦争で活躍するが、パリス王子が放った矢がアキレウスの唯一の弱点である踵を貫いた。これが致命傷となり命を落とすこととなった。このギリシャ神話の伝説からアキレウスの腱は、致命的な弱点の代名詞となった。
私は、3年前の夏の朝、突然踵に痛みを覚えた。赤く腫れた足首は、そのまま動かなくなり、階段を降りることが困難になった。たまらず病院でレントゲンを撮るとアキレス腱に石灰が沈着しているという。アキレス腱は、ジャンプの際、踵を持ち上げ、着地にも機能を発揮し、1トンの張力にも耐えられる人体最大の腱だ。80%がコラーゲン線維でできており、煮込み料理の牛スジは、牛のアキレス腱だと言うとイメージできるだろうか。
しかし、悲しいかな老化によりコラーゲンが減少すると腱の弾力や柔軟性が低下し、オーバーユースなどが原因で炎症を起こすと修復過程でカルシウムが沈着する。周辺に血管が乏しく、栄養を運び込み辛いため、一旦痛み出すと難治性となりやすい。海に入れずひと夏を棒に振ったあの3年前の苦い経験が甦る。再びレントゲンを撮り、前の写真と並べてみると何ら前と変わらぬ石灰の白いすじが映っていた。ここ2年くらいは、痛みを感じず、過ごしていた。確かにピリッとした微細な痛みは認識していたが、大事に至らなかったので、楽観視していた。石灰は、そこに執念深く居座り続け、黙っていただけだったのだ。
勇者アキレウスは、アキレス腱を負傷した後、どのように傷を癒したのかは、神話には書かれていない。しっかりとリハビリをしなかったのか。戦士として相当な痛手を被ったからこそ致命傷となったに違いない。私は、弓矢で射られることはないが、ここが弱点とならないようにリハビリに努めよう。
私は、3年前の夏の朝、突然踵に痛みを覚えた。赤く腫れた足首は、そのまま動かなくなり、階段を降りることが困難になった。たまらず病院でレントゲンを撮るとアキレス腱に石灰が沈着しているという。アキレス腱は、ジャンプの際、踵を持ち上げ、着地にも機能を発揮し、1トンの張力にも耐えられる人体最大の腱だ。80%がコラーゲン線維でできており、煮込み料理の牛スジは、牛のアキレス腱だと言うとイメージできるだろうか。
しかし、悲しいかな老化によりコラーゲンが減少すると腱の弾力や柔軟性が低下し、オーバーユースなどが原因で炎症を起こすと修復過程でカルシウムが沈着する。周辺に血管が乏しく、栄養を運び込み辛いため、一旦痛み出すと難治性となりやすい。海に入れずひと夏を棒に振ったあの3年前の苦い経験が甦る。再びレントゲンを撮り、前の写真と並べてみると何ら前と変わらぬ石灰の白いすじが映っていた。ここ2年くらいは、痛みを感じず、過ごしていた。確かにピリッとした微細な痛みは認識していたが、大事に至らなかったので、楽観視していた。石灰は、そこに執念深く居座り続け、黙っていただけだったのだ。
勇者アキレウスは、アキレス腱を負傷した後、どのように傷を癒したのかは、神話には書かれていない。しっかりとリハビリをしなかったのか。戦士として相当な痛手を被ったからこそ致命傷となったに違いない。私は、弓矢で射られることはないが、ここが弱点とならないようにリハビリに努めよう。