[サーファー院長の骨休め]コラム

親指は、子どもの時は、お父さん指と呼ばれていたのに、なぜ「母指」と呼ぶようになったのだろう。それは、母数や分母というように、ベースという意味がある。母指を基盤として他の指を抱き留めることによって、初めて摘まむ、掴む、握るということが可能になる。これを「拇指対向性」といって、人間の進化は、この対向性のお陰なのだ。
チンパンジーは、木にぶら下がる時、母指以外の四本の指を引っ掛けるようにし、食べ物を摘まむ時は、親指と人差し指の背を使って挟むようにして手を使っている。それが面倒なのか、床に落ちているものに直接口を近付けて食べてしまう場面もあるから、人間から見れば行儀が悪い。人が人たる所以は、この母指対向性にあったのだ。
みなさんは、母指を怪我して不自由な経験をしたことは、ないだろうか？箸は、持てない、スプーンも握れない。ほんの小さな切り傷でも母指を負傷してしまうとたちまち自由を奪われてしまう。曲げる、伸ばす、回すとどんな方向にも動くこの母指は、反面弱点もある。自由自在に動かせる分、関節に付いている靭帯が緩い作りになっている。そのため、不安定で壊れやすい。日常生活、特に家事の中には、母指を対向させる動作が無限にある。例えば、コップを持ってスポンジで洗うことや、洗濯バサミを摘まむ作業など、使う頻度が高い母指は、使い方を間違えると痛めてしまう。我慢をして使い続けていると、母指の付け根の関節の隙間を狭め、硬化してしまうことがあるから、まずは、日頃の母指の使い方を直そう。


×「母指の付け根の関節に力が集約される痛める使い方です。



○「このようにCの字の丸を大きくして使いましょう。母指の3つの関節に力が分散されます。