ビッグマッサー タハラ
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「チャンピオンの落日」
「何もやれてない。技も一回も出してない。」北京五輪柔道百キロ級一回戦で鈴木桂治はまさかの一本負け。うつむいたまま涙声を絞り出した。一方「何も言えない…。」と感動にあふれ出る涙をタオルで隠し、「チョー気持ちいい!」と五輪連覇の夢を果たした水泳平泳ぎ北島康介。前回アテネ五輪の両英雄は互いに故障と重圧と闘ってきた。だが両者結果はくっきりと明暗を分けたのだった。
私は、今回この鈴木桂治選手に期待していた。別に柔道に興味があった訳ではないのだが、以前サーフィン雑誌に海とは似つかわしくないこの五厘刈りのゴツイ男が満面の笑顔で波と戯れている写真が掲載されていた。「あーこの人もサーフィンやるんだ。」という印象しかなかったが、この五輪でテレビに出演し始めた頃から応援したくなってきた。
しかしまさかの一本負け。翌日には、畳の上に正座したままうずくまり、頭を腕で覆い隠しながら立ち上がれない姿を新聞各紙は掲載した。本来なら勝って日本選手団主将として勢いづけ、他の種目選手を応援に行くはずが、こんな結果に。「自分が弱い、バカとしか言いようがない。情けない。」とうなだれた。
実は、本紙18号でも紹介したように私の実弟はフジテレビのカメラマンで、この五輪柔道を担当していた。この試合も五メートルという至近でカメラを回しており、その敗戦の光景は特に印象に残っていると言う。「あれだけ長くうずくまっていた選手はいなかったからね。」流れる涙もはっきり分かったという。
今の世界のJUDOUは素人目に見ても「これが柔道?」と疑いたくなる戦い振りだ。ボクシングのように細かくステップを踏み、レスリングのように足にタックルをする。柔道とは、もっとどっしりと地に足をつけて互いに組み、洗練された大技を繰り出し、相手を投げ飛ばす。「柔よく剛を制する」とは弱い者が強い者に挑む時、突進して来る相手の力を利用して技を打つ妙技が本来の柔道ではなかったのか。階級が上がる程、剛と剛のぶつかり合いになり、勝つためのポイント稼ぎの柔道に見えて日本人として面白味がない。柔道のスタイルが変わってきているのだ。
鈴木選手は、アテネ優勝後ライバル井上康生を追い続け、柔道三冠を達成。しかし体は傷だらけで一時は情熱も失いかけた。そんな中で出会ったのがサーフィンだったのか?対人間でなく自然というこのスポーツに夢中になってしまったのだろう。チャンピオンという重圧や期待など一切忘れ、波と格闘する最高の笑顔が映ったその雑誌の一枚の写真に彼の本当の素顔が見て取れた。敗戦のコメントに「オレ今まで何やってきたのかな?」の中にサーフィンが頭に浮かんだかどうかは分からない。でも無駄なことと思わないで欲しい。欲しかったのはメダルだったのか?手応えだったのではないだろうか?ライバルは去り、得るものも得た。十分に稽古もし、自信も得たはずだった。しかし足をすくわれ体が宙に浮いた。
まだ彼は、泡の中にいる。手応えを感じるにはもう少しもがかなくては泡は消えない。いつか海面に出れる日が来るはずだ。また海に戻って来ればいいじゃん。
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